!SE , ピーン @心の声 この作品は、 ・武術運動部 ・『3月20日に来るメール』のメールを送る側で  起こった内容を書いた作品です。 ネタバレにご注意ください。 @心の声 ・ギャグ0% ・流血表現あり ・鬱展開注意 以上を理解の上お楽しみください。 !ウェイト , 90 ################ !BGM , 聖域 !エフェクト , フェードイン白 , @なし 公園。学校。商店街。 ホテル。住宅街。 @なし 走り回って遊ぶ子供達。 並んで帰る学生達。 店でショッピングを楽しむ女性。 家の前で雑談する老人達。 @なし 銀色に包まれたお菓子。 四角い箱のお弁当。 茶碗に盛られたご飯。 色鮮やかなジュース。 @なし 目まぐるしく輝く世界。 その世界の色は虹のように 飽く事無く変わり続けている。 !ウェイト , 60 @なし 吐き気がする。 @なし 吐き気がする。 @なし 吐き気がする! @なし どうして私だけ、私だけなんだ!! @なし 私だけ、こんな辛い目に 会わなければいけない!? @なし 私だって、学校に行って、 友達作って、一緒にご飯を 食べて、恋をして、 温かい家庭がほしかった!! !ウェイト , 60 @なし もう遅い。 今となってはもう憎悪しか生まれない。 @なし 得る快感より失う快感の方が、 強くなってしまった。 @なし 地獄のような世界で、 何もかも奪われ、 失う事しかなかった。 @なし だから、私も奪う。 私と『同じ』なのに、 のうのうと生きているヤツらを。 @なし 自覚はしている。 意味の無い、無駄な事くらい。 @なし だけど、心がそれを許さない。 @なし 許したら何になる? 許したら何を得る? 許したら幸せになる? @なし ヤツらが許しても、 信じられない。 飯を与えられても、 毒だと疑う。 @なし なら私は何を許す? ヤツらから、何もかも 奪えば、許されるのか? @なし 全て終えた時、私は 私の望む世界を得られるのか? @なし わからない。 @なし わからない。 !ウェイト , 60 @なし だから、やるしかない。 私が、私じゃなくなる前に。 @なし ただがむしゃらに、ヤツらから奪い、 私は、生き残る。 @なし 生き残ってどうする なんて考えない。 @なし 私はもう、死んだようなものだ。 何も怖くない。 @なし 返り討ちに会うなら、 それはそれで構わない。 楽になる。 @なし …………。 @なし よし、行こう。 今度のヤツは病院にいるらしい。 @なし あそこには『災い』の種を撒いた。 どちらにしろ死ぬだろうが、 ヤツだけは私自身の手で 殺さないといけない。 @なし …………。 !ウェイト , 60 @なし 真っ白な光の奔流の中心に たたずむ一人の少女。 @なし 目の前に、黒い渦が出来上がる。 @なし 少女は、その中に吸い込まれるように 移動する。 !SE , 硬い足音 @なし 少女を包む黒い渦は徐々に小さくなり、 少女と共に跡形も無く消える。 !BGM , !エフェクト , フェードアウト , 60 !ウェイト , 180 @心の声  『 白 と 黒 』 !ウェイト , 90 !移動 , 病室 , !BGM , エンド2 @サラ ………。 @サラ (『災い』は解決した…。  ですが、犯人がまだ…。) @なし 3月20日。早朝。 彼女は未来を視ていた。 @サラ (『災い』の犯人が私を  殺しに来ることはわかっています。  それが誰かを見つけなければ…。) @サラ (私が死ぬ前に、なんとしても、  伝えなければ…。) @サラ …………。 @サラ@困る (いつまでも、見つけられないと  すると……ありえないかも  しれませんが……。) @なし サラが呼び出した者は、 残り十数日で消えてしまう。 @なし せめて、私の予感だけでも送って おこう。そう思い、携帯電話を開く。 @なし あて先が入り、 一文字目、二文字目と文字が打たれ !BGM , @サラ !? @なし 突然の違和感。 この感覚には覚えがある。 @サラ あ……。 @なし 彼女の携帯電話の画面には 「送信完了」の画面で固まっている。 ここから先の操作が効かない。 @サラ (びっくりして送信ボタンを  押してしまった…。) @サラ (……時間が止まっている。  ……やっぱり、間違いじゃ  なかったのね……。) @黒サラ敵版 おい。 @サラ@驚く !? @なし いつの間にか、目の前にいた、『私』。 !BGM , 聖域 @サラ ……あなた、だったのね…。 @黒サラ敵版 …貴様の事だ。 未来は見えているのだろ? @サラ …………。 @黒サラ敵版 ふん、見えていようが 見えていまいが構わない。 私は貴様を殺すだけだ。 @なし そう言って、右手にナイフを持つ。 @黒サラ敵版 時空断裂は防がれるかもしれないからな。 @サラ …………。 @黒サラ敵版 どうした、怖いか? 抵抗してもいいんだぞ? @サラ …………。どうして、 @黒サラ敵版 ん? @サラ どうして、『私』達に 助けを求めなかったの…! !ウェイト , 60 @黒サラ敵版 助け…だと…。 @黒サラ敵版@怒り ふざけるのも大概にしろ!! 私は何度も助けてと叫んだぞ!! @黒サラ敵版@怒り 何度も!何度も!何度も! 何度も!何度も!何度も! @黒サラ敵版@怒り 喉が枯れるくらい!! 世界に響くくらい!! ずっと叫び続けた!! @黒サラ敵版@怒り それなのに!! 貴様らは、一言も声をかけずに、 まるでいないような ふるまいをしてただろう!! @サラ@困る ………。 @黒サラ敵版@怒り どうした!!なぜ黙る!! 図星なのだろう!! @黒サラ敵版@怒り 私が邪魔だろう!! 貴様の平穏を崩したのだぞ!! 私が憎いだろう!! @サラ ………。 私『達』は、ずっと、 あなたの事を呼びかけていたのよ。 @黒サラ敵版@怒り ………。 @サラ 誰一人として、あなたに声が 届かなかったの。 @サラ でも、心を閉ざしたあなたの 動向が、いつしか私たちにも つかめなくなってしまって……。 @黒サラ敵版 ………。 @サラ ずっと、ずっと、 今でも、声をかけていたのよ…。 !ウェイト , 90 @黒サラ敵版 …そうか。 そうだったのか…。 @サラ ………。 @黒サラ敵版 …そうだな。 少し、抱きしめてもいいか? @黒サラ敵版 お前達の心を、私の心を、 知る事ができるだろ? @サラ@笑顔 ……!もちろん、だって、 あなたは、『私』なんだから…。 @黒サラ敵版@笑顔 …そうか。 @なし そう言って、二人は静かに 抱きしめ合う。 !BGM , !ウェイト , 60 !SE , 空振り !ウェイト , 30 @サラ@困る ごほっ…。 @なし サラの口元から、赤い液体が流れる。 @黒サラ敵版 ………。 @なし サラの胸に突き刺さった、一本のナイフ。 @黒サラ敵版 ………。 @黒サラ敵版 ………。 @黒サラ敵版 ………もう、遅いんだよ。 @サラ@困る はぁっ…はぁっ…。 @黒サラ敵版 私はもう、戻れない。 これからも、貴様達を憎み続け、 殺していくだろう。 @黒サラ敵版 他の『サラ』どもに伝えておけ。 全員で、私を殺しに来いとな。 @サラ@困る ………。 @黒サラ敵版 …どうした、致命傷だが急所は 外した。少しは喋れるはずだぞ。 @黒サラ敵版 憎しみの一つでも吐いたらどうだ。 @サラ@困る ………。 ……………い。 @黒サラ敵版 ん? @サラ@困る …ご……めん…… な……さ………い……。 @黒サラ敵版 ……なんで。 @黒サラ敵版@怒り なぜ謝る!! 私は貴様を刺したんだぞ!! 死ぬのが怖くないのか!! @サラ@困る ………。 @なし サラがゆっくりと手を伸ばす。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 黒服のサラもその手を伸ばす。 @なし 指と指が触れ合う。 !エフェクト , フェードイン白 , 60 !SE , ジュゴオオ !ウェイト , 60 !BGM , オルゴール @黒サラ敵版 ………。 @なし 目の前に広がる光の奔流。 黒服の少女を優しく包み込む。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 色々な声が聞こえる。 色々な『私』の声が聞こえる。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 黒服の彼女の心に入ってくる。 『サラ』達の温もり。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 目には見えないが、 なんとなく、『私』達が、 私に手を差し伸べている。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 黒服の少女は、手を伸ばし !SE , ジュゴオオ !エフェクト , フェードアウト , 60 !ウェイト , 60 !BGM , @黒サラ敵版 ………。 @なし 温かい真っ白な世界から、 冷たい色鮮やかな世界へ。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 目の前には、力なくうな垂れている サラの姿。 @黒サラ敵版 ………。 @なし サラの髪が乱れて、どのような顔を しているか見えない。 @黒サラ敵版 ………死んだ、か。 @なし ゴトッ @黒サラ敵版 ? @なし サラの片手から、何かが落ちた。 @黒サラ敵版 携帯……。 @なし 携帯の画面には、送信完了の画面が 出ている。 @黒サラ敵版 もう、伝えていたか。 !SE , 衝突 @なし 黒服のサラは携帯を真っ二つに割る。 @黒サラ敵版 ………。 @黒サラ敵版 ………。 !ウェイト , 120 !エフェクト , フェードイン白 , 60 !SE , ジュゴオオ !BGM , 聖域 !ウェイト , 60 @なし 黒服の少女は、何も言わず、 光の奔流の中に戻った。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 向こうに行って気付いた事だが、 『災い』の芽が摘まれていた。 『災い』は防がれていた。 @黒サラ敵版 ………。 @なし だったら、やる事は一つ。 『災い』を防いだやつを殺し、 あの『世界』を終わらせる。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 彼女はただ、立ち尽くしていた。 @なし 何が正しかったなんて関係ない。 やりたい事をやってきただけ。 @なし 何も変わらない。 これからも、殺し続けるだけ。 @なし ただ、今まで殺してきた『サラ』達は 裕福な生活を送っていた。 @なし だが、今回の彼女は裕福そうには 見えなかった。 @なし まるで、死に急いでるような。 どこかの誰かのような。 @黒サラ敵版 ………。 同情しているのか、私は…。 @なし そんなわけは無い。 後悔もしていない。 @なし だが、彼女の心の中の何かが、 変わっていく感覚がある。 @なし …………。 @なし 2日後、彼女は『災い』を 防いだやつにメールを送った。 @なし 3月28日に、『世界』が 終わる未来が薄く視えた。 @なし やつが絡むと、未来が鮮明には 視えなくなっている。 @黒サラ敵版 ………。 @なし 彼女は考えるのをやめた。 @なし 考えれば、考えるほど、思い出してしまう。 @なし あの時、一瞬抱き合った時に、 流れ込んできた温もり。 @なし 彼女は、それが恐ろしくて、 反射的にサラの胸に刺した。 @なし まあ元々、その時刺すつもりでもあったが。 @黒サラ敵版 ………。 @黒サラ敵版 ………私は。 @黒サラ敵版 サラどもを絶対に許さない。 @黒サラ敵版 地獄のような世界で泥水をすすって 生きている間、やつらはのうのうと 見てみぬフリをしてすごしていた。 @黒サラ敵版 私も見えていたはずなのに、 一言もくれなかった。 @黒サラ敵版 まるでいないようにふるまう ヤツらが許せなかった。 @なし 呪文のように呟く黒服の少女。 @なし …………。 @なし …………。 @なし 3月28日。 @黒サラ敵版 これは…研究所…か? @なし 『やつ』と『世界』の崩壊を担うものが 集まっている。 @黒サラ敵版 ………。 @黒サラ敵版 ………終わらせる。 @黒サラ敵版 ………あの『世界』も。 ……そして………。 @なし 目の前に、黒い渦が出来上がる。 @なし 少女は、その中に吸い込まれるように 移動する。 !SE , 硬い足音 @なし 少女を包む黒い渦は徐々に小さくなり、 少女と共に跡形も無く消える。 !移動 , なし , !エフェクト , フェードアウト , 60 !BGM , !ウェイト , 180 @心の声  『 白 と 黒 』 − END !ウェイト , 90